リラクゼーションは長い方が良い? ロングコースに頼らないサロン運営の考え方
サロンを運営していると「リラクゼーションは長い方が良い」と思い込んでしまう事はないでしょうか?
僕自身も以前は「時間が長ければ長いほどお客様に喜ばれる」と信じて、150分や180分といったロングコースを用意していました。
しかし今振り返ると、それは大きな勘違いでした。
今回はロングコースと短時間施術の本当の価値について、開業10年のサロンオーナー目線でお話しします。
「長い方が良い」と思い込んでいた過去
当時の僕は、60分では足りないお客様に対して
「かなりお疲れですので、次回は90分がオススメです」と伝えるのが定番でした。
自分自身も施術を受ける立場になると「60分では物足りない」と感じていたので、その感覚をそのまま提供していたんです。
実際、同じ感覚を持つお客様も多く、「どこでも“硬いですね”って言われるから、60分なんかじゃ足りないのよ〜」と言われることもしばしばありました。
Threadsで「マッサージは長い方が良い?」と問いかけてみた時も、セラピストやエステティシャンの方から
「短時間ではほぐしきれない」「長い方が効果的」といったコメントをいただきました。
本当に長時間じゃないとほぐせないのか?

ここで一度立ち止まって考えてみましょう。
「お客様が疲れているから長時間が必要」
これは一見正しそうに思えます。でも逆に言えば、
“長時間じゃないとほぐせない=短時間ではほぐせない” ということ。
果たしてそれは本当にお客様の身体の問題でしょうか?
それは「セラピスト側のスキル不足」が原因かもしれません。
短時間で結果を出せる技術を持てば、お客様を長時間拘束する必要はなくなるのです。
施術の質を見直した結果
僕は最近、ほぐしに特化したコースを復活させましたが、時間は「50分」に設定しました。
本音を言えば40分でも十分ですが、「短すぎる」という印象を避けるために50分にしました。
お客様からは「50分も短い」という声を頂いたので最終的には60分で着地しています。
価格は過去の僕の150分よりも高く設定してます。
なぜそれが出来るのかというとシンプルに、以前よりもほぐせるようになったから。
お客様の身体への負担も減り、同じ時間でより多くの方に施術を提供できます。
単価は変わらないので売上は伸び、結果的にサロン経営の安定にもつながりました。
ロングコースが必要な場面もある

ではロングコースは不要か?というと、そうではありません。
次のようなケースではロングコースが活きてきます。
- 「長時間しっかり揉まれる」という過程そのものを楽しみたいお客様
- 「贅沢な体験」として施術を受けたい方
つまり「結果」ではなく「過程」を目的にしている場合です。
実は、僕のサロンのメインコースは約1時間半。
これは「ほぐすため」ではなく、休息・リラクゼーションの時間として設計しているからです。
- 「何が辛いのか」
- 「何に悩んでいるのか」
- 「どうなりたいのか」
を丁寧にヒアリングし、空間づくりにもこだわり、誰にも邪魔されないパーソナルな時間を提供をするために敢えて長時間のコースをメインにしているのです。
そうすると、ただもみほぐすためのロングコースとは根本から意味が違うので他と比較する事もなく唯一無二となれるわけです。
セラピストの思い込みが刷り込まれる
セラピストが「長時間じゃないとほぐれない」と思っていると、自然とお客様にもその前提が刷り込まれます。
だから、「私の身体はロングコースじゃないとほぐれないのよ〜」となってしまうのです。
でも本当は違います。
時間に頼らず、技術で結果を出せること。
それがセラピストとして、ひとつ上のステージに進む鍵になるのではないでしょうか。
最後に
そもそも、一度で全てをほぐしきろうとする事自体に無理があります。
半年に一度だけ来て、その繰り返し……では根本的な改善にはつながりません。
僕たちセラピストの役目は、継続的なケアの大切さを伝え、疲れにくい身体づくりを提案することだと思います。
「短時間でもしっかり結果を出せる施術」
「長時間は体験そのものを楽しむため」
この2つをきちんと切り分けて提供できるようになると、サロン運営は大きく変わっていきます。